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「想い」をカタチに

「想い」をカタチに

 ついに春本番の暖かさがやってきましたね。長かった冬に比べて、桜を眺めていられる時間のなんと短いことでしょうか...今年はコロナの影響もあり、何かと不慣れなことが多く、大変ではありますが、どのような時代においても、私たちに春の暖かさと希望を届けてくれる桜の木々たちを見ていると、己の未熟さを感じざるを得ません。これからもみなさんに感動と喜びを届けることができるように日々精進していきます!

 

 さて、4月といえば、皆さんは何を思い浮かべますか?進級や進学、就職など、新しいことに期待を膨らませる、もしくは不安でいっぱい、といった自分を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。今回紹介させていただく作品は、そんな方々の「挑戦」を後押ししたいという想いを込めて作られた作品です。

 

本金盛山葡萄図青粒彩印

作品紹介

 

金盛技法を用いて山葡萄を描き、その周りを渦打青粒で装飾しました。山葡萄はたくさんの実をつけることから、財を成す・豊穣の意味が込められています。

判子は、赤と青の二色からおえらびいただくことができ、ご購入の際には、印鑑のケースに朱肉とともに入れさせていただくというかたちになります。

このハンコを携帯していただくことで、皆さんがますますご活躍されることを祈願しております。

制作にあたり

 

昨今、脱ハンコ社会の波が押し寄せる中、これから判子は事務的な一つのアイテムではなく、人の「想い」を具現化したものとして存在していくと思います。

例えば、親御さんが御子息へ贈る時、そこには必ず御子息への「想い」があります。

また、本人が自ら使う場合にも、そこに特別な「想い」を持って使っていただけるよう心を込めて制作しました。

この判子を持たれる方が色褪せることない、輝かしい人生を歩まれることを願っております。

                                   

                                   三代 仲田錦玉

 

 今回紹介した判子ですが、私は大学進学の際に、記念品として父に製作していただきました。作品をいただくのは初めてのことだったので、ブログを通してこの喜びを伝えることができればと思いました。これからの上京に不安を感じる時もありますが、父の作品が常に自分の近くにあると思うと心強いです。丹精込めて作られた作品の裏側に両親の優しさが垣間見えた気がしました。

 

 伝統的工芸品は、その作品の持つ荘厳さや秀麗さを鑑賞して楽しむだけでなく、大切な方に伝えたい「想い」をカタチにして送ることができるというところに、他にはない素晴らしさがあると思います。

 

 最近はIT技術がますます発展しており、情報化社会はこれからもさらに加速していくことでしょう。実際に私のような人でも、こうしてSNSを通じて皆さんとつながりをもつことができるような時代になりました。しかし、SNSに代表されるような、気軽なつながりが増えてきている時代になったからこそ、身近にいる大切な人とのかかわりやコミュニケーションがより一層重要視されるようになってきたと感じます。

 

 両親、兄弟、親戚、友人...皆さんにとっての大切な方はどなたでしょうか。4月という節目の頃合いに、あなたの「想い」をカタチにして、大切な方へ届けてみてはいかがでしょうか。